こんな悩みを解決!
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)について詳しく知りたい
- なぜ資産形成はこのファンド一本でも問題ないのかを知りたい
ロレンシャンです。
長期の資産形成にインデックスファンドの積立は非常に有効です。
現行のつみたてNISAはもちろん、2024年からスタートする新NISAでも年間120万円分の積立投資枠が設定されていますが、2023年現在、その投資対象となるファンド(投資信託)だけでも200種類以上あります。
これだけ種類があると、特に投資を始めたばかりの初心者の場合、どのファンドを選んで良いか非常に迷いますね。
そして最悪、どのファンドを購入してよいかが分からず、気が付いたら証券口座を開設したものの、投資に踏み出せずに放置されてしまう、といった非常に勿体ないことにもなりかねません。
そこで今回は、長期の資産形成をするならこれ一本でOK!、というファンドを紹介します。
いきなり結論、ズバリそのファンドは、
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
です。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とはどのようなファンドなのか、なぜ資産形成はこのファンド一本で良いのか、その他良くある疑問点も併せて解説していきます。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の特徴
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、愛称オルカンは、三菱UFJ国際投信が運用する投資信託で、SBI証券や楽天証券の投資信託積立ランキングでも常に上位にいる人気商品です。
このファンドの主な特徴は以下の通り
- 日本を含む、先進国、新興国の株式に分散投資するインデックスファンド
- 時価総額加重平均型株価指数である
- 小型株へは投資しない
- 為替ヘッジは行わない
- 基本的に分配金を出さない
- コストが最安、かつ常に競合より低コストを追求する
- 純資産総額が右肩上がり
順番に解説していきます。
日本を含む、先進国、新興国の株式に分散投資するインデックスファンド
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、MSCI(モルガンスタンレー) オール・カントリー・ワールド・インデックスというインデックスファンドをベンチマークとしています。
ベンチマークというのは目標のことで、要はこのファンドと全く同じ投資成果を目指して運用しているということです。実際の結果は全く同じパフォーマンスになるわけではありませんが、ほぼ同じ結果になると思っていただいて大丈夫です。
このMSCI指数は多くの投資信託や機関投資家がベンチマークとして採用している世界的にも非常にメジャーな指数となります。
2023年現在、この指数は先進国23ヵ国、新興国24ヵ国の計47ヵ国の上場企業約2,900銘柄に分散投資しており、株式時価総額の内の約85%をカバーしています。
全世界株式と名前が付いていますが、フロンティア市場、スタンドアローン市場と呼ばれるまだ市場が成熟していない国には投資しないことから、投資対象国は意外に少ないです。
投資対象の国、地域別の構成比率は以下の通りです。
投資対象は基本的にすべて「株式」です。
中でもアメリカへの投資比率が突出しており、日本、イギリス、カナダと続きます。先進国の比率が約89%と高く、残る新興国への投資も、中国、インド、台湾、韓国とアジア圏の国が多くを締めます。
ちなみに、日本を除く全世界株式に投資をするeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)というファンドもありますが、例えば既に別で日本の個別株等に投資をしていて、もう日本には投資する必要がないという人はこちらでも良いでしょう。
また、日本、先進国、新興国へ33.3%ずつ均等に投資をするeMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)というファンドもありますが、こちらは日本への投資比率が高すぎる、かつ米国等の先進国への投資が少なすぎるので推奨はできません。
時価総額加重平均型株価指数である
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、「時価総額加重平均型株価指数」となっています。
要は、時価総額が大きい銘柄には沢山投資し、時価総額が小さい銘柄には少ししか投資しない、ということです。(時価総額というのは現在の株価に発行済株式数をかけて求められる数値で、現在のその企業の価値です。)
以下はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が投資している組み入れ上位10銘柄を表しています。(2023年4月28日現在)
約2,900もの銘柄に分散投資されているにもかかわらず、アップルには全体の4.2%、マイクロソフトには全体の3.4%も投資しています。
これはアップルやマイクロソフトの時価総額が他の組み入れ銘柄よりも高いため、その分沢山投資をしているということです。
そして組み入れ上位銘柄は全てアメリカの会社です。それだけアメリカは他国の銘柄よりも時価総額が高い企業が多いということですね。
小型株へは投資しない
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、MSCI前述の通りMSCI ACWI(モルガンスタンレー オール・カントリー・ワールド・インデックス)をベンチマークとしており、この指数は全世界の株式へ投資はしますが、小型株は投資対象には含まれていません。
一方、同じ全世界株式へ投資するインデックスファンドである、SBI全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全世界株式インデックス・ファンドはFTSE GACI(グローバル・オール・キャップ・インデックス)への連動を目指しており、こちらは小型株を投資対象に含みます。
ファンド名 | ベンチマーク | 投資対象 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | MSCI ACWI | 大型株、中型株 |
SBI・全世界株式インデックスファンド | FTSE GACI | 大型株、中型株、小型株 |
SBI・V・全世界株式インデックスファンド | FTSE GACI | 大型株、中型株、小型株 |
楽天・全世界株式インデックスファンド | FTSE GACI | 大型株、中型株、小型株 |
小型株へも投資をしたいという方はFTSE・グローバル・オール・キャップ・インデックスへの連動を目指すファンドのほうが良いですが、正直パフォーマンスはほとんど変わりません。
この点についてはどちらでも良いというのが私の意見で、私は全く気にしていません。
為替ヘッジは行わない
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は為替ヘッジを行いません。
為替ヘッジというのは為替の変動を抑える仕組みのことです。
私たち日本人は円をベースに生活していますが、世界の株式に投資をするためには、いったん現地の通貨に交換して投資をすることになります。
ご存じの通り為替は常に変動するため、例えばファンドを購入した時よりも外国通貨に対して円の価値が上がっている場合、外国通貨から円に戻す時に買える円の量が少なくなるため、為替差損が発生します。
為替ヘッジを行うファンドの場合、外国株式を購入する際、同時に為替予約取引(売り予約)を入れることでこの為替差損を相殺させます。
為替ヘッジを行っていないeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、「円高」になれば評価額は下がり、「円安」になれば評価額は上がる、と覚えておきましょう。
為替ヘッジにも一長一短があり、為替の影響を抑えることができるのは魅力ですが、常にヘッジコストという余計なコストがかかり続けるため、長期的なパフォーマンスを低下させます。
私は、長期投資を前提とするならば為替ヘッジは不要だと思っています。
基本的に分配金を出さない
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、基本的に分配金を出しません。
まだファンドの歴史がそこまで長いわけではありませんが、2018年10月31日の設定日以来、一度も分配金を出したことはありません。
分配金とは、株式で言う配当金と似たようなもので、ファンド内で得た利益や配当金の一部を投資家に分配します。
当然分配金を出せばファンド内の資産は減るため、その分基準価格は低下することになります。
分配金を出さない場合、ファンドで得た利益や配当はファンド内で再投資されて複利運用されます。
この複利運用こそが長期的に大きく資産を形成するためのキモとなるため、分配金を一切出さないというファンドの方針は長期の資産形成をする上で非常に理にかなっていると言えます。
コストが最安、かつ常に競合より低コストを追求する
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、全世界株式に投資をするファンドの中でもコストが最安です。
以下に同じく低コストの全世界株式ファンドの手数料をまとめました。
ファンド名 | コスト(年率)[%] | 純資産総額[円] |
---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775 | 1兆4,740億 |
野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) | 0.05775 | 7億 |
SBI・全世界株式インデックスファンド | 0.1102 | 1,388億 |
SBI・V・全世界株式インデックスファンド | 0.1338 | 293億 |
楽天・全世界株式インデックスファンド | 0.132 | 3509億 |
現状の最安コストはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の二つのファンドとなります。
元々eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のコストは年率0.1144%でしたが、野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)が0.05775%という驚異の低コストで運用をスタートしたため、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)がそれに追従してコストを引き下げました。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、常に競合ファンドと比較して最安コストを追求するため、後からより低コストのファンドが登場したとしても、安心してこのファンドを保有し続けることができます。
長期運用において、コストの安さは非常に重要です。
特にインデックスファンドにおいては、コストが高いからパフォーマンスが良い、なんてことは無く、基本的にはコストが安いほど長期のパフォーマンスには有利です。
純資産総額が右肩上がり
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、これ一本で全世界の株式に長期分散投資ができ、かつ最安級のコストということもあり、設定以来多くの資金が流入し続けています。
以下は本ファンドの基準価格と純資産総額の推移です。
グラフのオレンジ色が純資産総額。設定以来右肩上がりに増え続けているのが分かります。
純資産総額が長期的に増え続けているファンドは優良なファンドであることが多く、繰り上げ償還(途中で投資信託の運用が強制的に終わること)のリスクも少ないです。
そして本ファンドは、新NISAのスタートと共に、さらに純資産総額を伸ばしていくことが予想されます。
資産形成はこのファンド一本でも十分!
ここまでeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の特徴を紹介してきました。
非常に優れたファンドであり、長期の資産形成にはこのファンド一本を積み立て投資するだけでも十分です。
全世界の株式に分散投資され、時価総額加重平均型なので、将来伸びてきた国や企業は投資比率が上がり、逆に衰退した国や企業は投資比率が下がります。
要は自動で投資比率を最適な状態にリバランスしてくれるということです。
分配金を出さずに、株式の配当はファンド内で再投資されるため、長期的には複利効果が効いてきて基準価格を押し上げます。
コストは業界最安級で純資産総額も非常に大きいかつ右肩上がりのため、繰り上げ償還の心配は全くなく、安心感があります。
もちろんこのファンドへの投資は核(コア)として、米国株の投資を増やす、新興国の投資を増やす、といったサテライトの投資信託を組み合わせる方法も悪くはありません。
また、インデックスファンド以外に、高配当株へ投資したい、金へ投資したい、不動産へ投資したい、仮想通貨へ投資したい、等は当然あると思いますし、もちろんこれらの商品を自己判断で投資する分には全然問題ないと思います。
私もインデックスファンドについてはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をコアにしていますが、不動産、個別株にも投資をしていますし、全体でみると不動産への投資比率が高いです。
良くある疑問点について私の意見
ここからは、良くある疑問点についての私の意見を解説します。
疑問点としては以下をピックアップしました。
- S&P500連動のインデックスをコアにしたほうが良いのでは?
- 野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)では駄目なのか
順番に解説していきます。
S&P500連動のインデックスをコアにしたほうが良いのでは?
これは意見が分かれますね。
確かに同じ三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と並んで積立ランキング上位の大人気銘柄となっています。
ちなみに、過去10年間のリターンはS&P500のほうが高かったです。以下は楽天証券からの引用で、2011年10月末からの比較です。
ただ、過去のリターンは未来を保証するものではありませし、投資の格言に「人気の銘柄、地域に投資すべきではない」という言葉があります。
米国は世界経済の中心で、今後当面は引き続き世界経済を牽引することに疑いはありませんが、超長期で見るとそれも分かりません。
インデックスの長期分散投資は、なるべく未来への不確実性を排除することが求められますから、米国一国への集中投資は一つの不確実性だと思います。
オルカンの場合、前述の通り現状米国株への投資は62%に登り、例えば将来、仮にインドのGDPが世界一になった場合、自動的にインドの投資割合を増やしますので、常に世界経済の成長に乗り続けることができます。
上記より私はオルカン派ですが、決してS&P500が悪いと言っているわけではありません。
どちらでも問題はないが、どちらかといえばオルカン、その位の温度感です。
野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)では駄目なのか
同じ全世界株式に投資するインデックスで、野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)への投資では駄目なのかという意見もあります。
改めて2つのファンドを比較してみます。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) | |
---|---|---|
委託会社 | 三菱UFJ国際投信 | 野村アセットマネジメント |
愛称 | オルカン | Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー) |
ベンチマーク | MSCI ACWI | MSCI ACWI |
投資対象 | 大型株、中型株 | 大型株、中型株 |
純資産総額 | 1兆4,740億 | 7億円 |
コスト | 0.05775%(年率) | 0.05775%(年率) |
分配金 | 0円 | 0円 |
購入手数料 | 0円 | 0円 |
新NISA | ○ | ○ |
結論、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)への投資で良いです。
どちらも超低コストで全世界株式へ分散投資できる優良ファンドであることには代わりありませんが、野村ーはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は設定間もないことから純資産総額が非常に少ないです。
また先述の通り、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、より低コストのファンドが登場した際、そのファンドのコストに合わせて信託報酬を引き下げる可能性が高く、安心して長期保有できます。
改めて、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は投資家思いの素晴らしいファンドですね。
まとめ
以上、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)について深堀して解説してきました。
本ファンドは特に大きな欠点もなく、長期の資産形成には大きな味方になってくれるでしょう。
来年からスタートする新NISAでは、積立投資枠、成長投資枠共に本ファンドへの投資が可能で、これ一本で資産形成をする場合は年間360万円も投資ができますし、このファンドをコアとし、例えば新興国株へ厚めに投資をしたい、REITへ投資をしたいといったコアサテライト戦略でポートフォリオを調整することもできます。
私も今の所、新NISAの積立投資枠はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をコアとした投資を予定しています。
数多くの投資信託が乱立する中、これ一本で良い、というeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は投資初心者にとっても非常に心強いファンドであり、私も心から推奨することができます。
もちろん分散しているとはいえ、ほとんど全てを株式に投資するファンドなので、ある程度のリスクはありますし、短期的には大きな価格下落に見舞われる可能性も十分ありますが、長期的には世界経済の成長を享受できるリターンが期待できると考えています。
既に本ファンドへ投資をしている方は、途中の下落局面があっても、握力強く長期的に保有し続けていただければと思います。
最後に、最終的な投資判断は自己責任にてお願いいたします。
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