典型的年功序列の会社に勤めてきて感じた年功序列制度の問題点

ロレンシャンです。

私が14年間務めてきた会社は、典型的な「年功序列」の会社です。

どれだけ優秀でどれだけ成果を出しても、20代~30代前半で役職がつくことは100%ありませんし、もちろん給料が大きく上がることはありません。

給料は役職よりも年齢が重視されるため、40代半ばの課長よりも50代後半の平社員のほうが給料が高いです。

一見羨ましいと感じる方もいるかもしれませんし、株主や経営者ではなく従業員の立場だった私からすると、正直、年功序列の会社の居心地は決して悪くはありませんでした。

ただ最近は会社の業績の悪化から、賞与のカットや希望退職の募集など、回りまわって従業員にも弊害が出てくるようになってきています。

結論、行き過ぎた年功序列制度は会社にとっても、そこに働く従業員にとっても、そして日本全体にとっても変化の激しい今の時代に合っていないと感じています。

今回は、年功序列の会社の内部にずっといた私が感じた年功序列制度のメリット、デメリット、そしてその反対の成果主義についてのメリット、デメリット、さらに今後の日本企業の向かうべき方向性についての私の意見についても述べます。

目次

年功序列のメリット、デメリット

まず私は年功序列が100%悪いと言っている訳ではありません。年功序列にもメリット、デメリットがあります。

箇条書きすると、

メリット

  • 社員の一体感が高まる
  • 社員教育がやりやすくなる
  • 人事評価がやりやすくなる

デメリット

  • 社員が新しいことへチャレンジしなくなる
  • 社員の生産性が低下する
  • 若くて優秀な人材が確保できなくなる

といったところでしょうか。

年功序列の場合、長く会社にいる先輩がしっかりと後輩を教育していく、といった昔ながらの仕事、技術の伝承がやりやすいですし、それが良いか悪いかはともかく「社員は仲間だ」、といった一体感も生まれやすいです。

また、飛び抜けて仕事ができる人、逆に極端に問題のある人を除いては、あまり人事評価に差をつけず、基本的には年齢の高い人から出世していくので、人事評価も比較的容易で、大きな不満も出にくいです。

一方、何かに挑戦して失敗するぐらいならば何もしなければ良い、といった考え方にもなりやすく、皆が新しいことにチャレンジしなくなったり、どうせやっても評価されないといった考えから改善案などが出てこず、結果的に社員の生産性が上がらないといったデメリットもあります。

さらにこれから自分で何かを変えてやろう、と思っている若手社員のモチベーションを削いでしまい、優秀な若手社員が離職するリスクもあります。

私が社内にいて感じた年功序列の問題点

さて、一般的な年功序列のメリット、デメリットを解説してきましたが、私が14年間年功序列の会社に勤めてきて感じた一番の問題点、それは、

社内の新陳代謝が起きなくなる

ということです。

私の会社は労働組合が非常に強かったこともあり、特に給与面での年功序列色が強く、給与は役職よりも年齢や何年会社に居たかが強く反映される賃金体系です。

もちろん、私は会社員を続けるつもりならば出世を目指すべきだという考え方ですし、私の会社でも出世した人の方が生き生きと仕事をしていることは間違えありません。(出世についての私の考え方は以下記事を参照下さい。)

ただこの賃金体系の影響もあり、私の会社では出世したくない、という人が多いのも事実で、出世して責任だけが重くなるよりも平社員でそれなりの給与をもらっていた方が居心地が良く感じてしまう環境にありました。

結果、いわゆる「働かないおじさん」が非常に多くなり、彼らは給与は高いにもかかわらず仕事の生産性が非常に低いため、会社の経営を圧迫しました。

会社も働かないおじさんたちの給与を支払うために積極的な新規採用が出来ず、会社の平均年齢は約44歳と高齢社員の比率が非常に多いだけでなく、生産性の高い若手に仕事の負荷が集中して若手の離職が増えるという非常に悪い循環となっていました。

それが続いた結果、2022年に会社の業績悪化から遂に希望退職を募ることとなり、残った社員も賞与がカットされ、さらに若手の退職者が相次いでいる状況です。

若手や違う環境を知る中途入社の社員が少なく、長く会社に居るだけの社員が多くなると、会社の新陳代謝が起きません。

新しいアイデアや生産性向上に寄与する改善案などは、同じ所に長くいる人よりも、別の環境、別の業界にいた人からもたらされることが多いので、新しい風が入りずらい環境では現状維持が蔓延しやすくなります。

現に私の会社もここ10~20年新しいヒット商品は生み出せてはおらず、過去の遺産で食べている状況で、それも競争力の低下から徐々に限界に来ており、結果、業績の悪化を招いてしまいましたし、その苦境は今もなお継続中です。

成果主義のメリット、デメリット

では外資のようなバリバリの成果主義が100%良いかと言われれば、当然良い点悪い点はあります。

まずは成果主義のメリット、デメリットを箇条書きすると、

メリット

  • 社員の生産性が向上する
  • 能力の高い社員のモチベーションが向上する
  • 社員に適正な給与が支払われる

デメリット

  • チームワークが低下する
  • 人事評価が難しい
  • 社員の離職率が高い

といったところでしょうか。メリット、デメリットが年功序列の逆ですね。

成果に応じて若くして出世したり、給与が大きく変動するので、社員のモチベーションや生産性の向上が期待できる他、生産性の低い社員に必要以上に給与を支払う必要がないため、会社としての効率も良くなります。

一方、社員が自分の実績を優先的に考え、チームメイトに情報を渡さなかったり、部下にあえて仕事を教えなかったりと、社員が個人プレーに走りがちなのと、数字で表れないような部署の人事評価が難しく、適正な評価がなされずに上司の好き嫌いで給与が大きく変わってしまう場合は社員の不満もたまりやすいです。

さらに、出世できなかった社員、成果を上げることが出来なかった社員は居心地が悪くなって会社を退職するケースが増えます。

このように成果主義にも問題点はあり、日本の大企業でも成果主義を取り入れたもののうまく運用が出来ず、逆に業績が悪化して取り辞めた会社もありました。

毎年の賃金アップは残しつつも責任と報酬を明確に!

上記のように、年功序列にも問題を抱えている一方、行き過ぎた成果主義にも問題があることはこれまでの企業の取り組みの中で明らかになってきています。

ただ私の本音を言えば、日本中の会社がどちらかというと成果を重視する方向に舵を切り、同時に労働契約法による解雇規制も大幅に緩和するところまで振り切ったほうが良いと考えています。

企業は一旦雇用した人を長期間雇い続けなければいけない環境だと、景気が上向いても積極的に採用を増やすことを躊躇してしまいますし、賃金も積極的に上げることができません。

社会全体で人材の流動化が進めば、企業もどんどん新規採用をしやすくなりますし、社員の賃金上げやすくなります。

さらに個人個人で見ても、自分に合った職場に移りやすくなることでモチベーションや生産性もアップします。

とはいえ規制の問題はそこまで簡単に事は運ばないでしょう。

ただ、会社として出来ることはありますし、既にその流れは始まっています。

まずは行き過ぎた年功序列は撤廃し、勤続年数での賃金アップはある程度は残しつつも、各々の役職の責任や成果に応じた賃金体系にシフトし、皆が出世したいと思えるような環境にするのが良いと考えます。

もちろん、成果を重視する上では出来るだけ公平、公正な人事評価は必要ですが、人事評価は人間がやることですし、100%公平な人事評価は不可能です。そこはある程度割り切るしかないと思います。

会社として、長く勤めた人ではなく成果を挙げた人を優遇する方向性を明確にし、個人個人についても、なんとなく一社にしがみつくのではなく、自分が輝ける場所へ自主的、積極的に転職していくような社会が良いのではないでしょうか。

これからは雇用の流動化が進む

政府は人材の流動化を目的として、転職市場を活性化するため、制度改正やリスキリングに補助金を出したりといった取り組みを始めています。

例えば退職金制度についても、20年以上務めた人が控除額を優遇する制度を廃止する流れとなっていますが、実質増税になるということは置いておいて、長く勤める人の優遇制度を撤廃するという方向性としては賛成です。

このような政府の後押しもあり、これからは同じ会社に長く務めた人が優遇される時代は徐々に崩れてくるでしょう。

行き過ぎた年功序列制度は変化の激しい現代に合っていません。それは私が典型的な年功序列の会社に在籍し、内部からその状況を見てきて本当に肌で感じています。

日本企業がここ数十年、米国企業や中国企業、その他海外の企業と比較して新しく、そして強い産業を生み出せていないのは、企業の新陳代謝が起きず、旧態依然の産業に人材が膠着している影響も大きいと思います。

強い産業の復活には成長産業への人材の円滑な移動が欠かせません。

そして企業の生産性についても日本は諸外国に比べて非常に低いというデータが出ており、ここの改善も急務です。

日本社会全体の生産性が上がれば、皆が子育てに力を入れやすくなって少子化対策にもなりますし、皆の趣味や副業の時間が増えることで、新しい知見や広い視野を得ることもでき、結果的に社会、会社にとってもプラスになります。

私たち個人個人についても、惰性で今いる企業にぶら下がるのではなく、自分の得意なことや、自分が輝ける場所を自ら見つけていくほうが、後から振り返ってみれば充実した人生だったと思えるのではないかと思います。

私もサイドFIREという形ではありますが、輝ける自分を目指して今の会社を飛び出します。

大好きとは言わないまでも、せめて自分が情熱を持って仕事ができる、そのような職場や環境を選んでいきたいですね。

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この記事を書いた人

2023年7月にサイドFIRE達成!

現在38歳で元営業職。投資歴10年以上。

当ブログにて、再現性のあるサイドFIREへの道筋や私のサイドFIRE生活、投資関連情報ついて発信。現在せどりで事業所得構築奮闘中!

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